俺様ドクターは果てなき激愛で契約妻を捕らえて離さない

幼馴染のふたりの間に私が入り込む隙間は一ミリもない。その事実を今日もまた見せつけられてしまい、しょんぼりとしながら向かいの席のふたりを眺めていると、その視線に気が付いたのか未華子先生と目が合ってしまった。

「芙美ちゃん、どうしたの?」

あまりにもじっと見ていたからだろう。未華子先生が不思議そうに首を傾げるので「なんでもないです」と両手を横に振った。

「未華子先生と早瀬先生はいつも仲良しだなぁと思って」
「子供の頃からの仲だからね。腐れ縁みたいな感じだよ。ね、早瀬くん」

未華子先生に同意を求められた早瀬先生は、無言のまま水の入ったグラスに口をつけた。

ふたりは共に東北地方の出身で、お互いの父親が同じ大学の医学部で教授を務めているそうだ。その関係で子供の頃から親交があるらしい。

院内ではふたりが幼馴染というのは有名で、実は付き合っているのではないかという噂もあるほど。ふたりともきっぱりと否定しているけれど、お互いに医師であり美男美女なのでお似合いだと思う。

スタイルが良く、すらりと背の高い未華子先生よりも早瀬先生はさらに背が高くて、おそらく百八十は余裕で超えているはず。
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