切れない縁
6/1 人生最大の決戦日***

隆二さんは福岡に出張だとお義父さんやお義母さんにも伝え、
朝の7時にゴルフバックをわざとらしく担いで出かけて行った。

隆二さんが出かけてから私はリビングでお茶を飲んでいる2人に
「お義父さん、お義母さん。
以前からお話ししてたように私も午後から健一郎のところへ行きますね。」

「あ〜同窓会ね!楽しんで来てね」

「ありがとうございます。お肉やお魚も買ってきてあるので宜しくお願いします。」

「ありがとう美波ちゃん。」

「あの〜。お2人に大事なお話しがあります。」

「何かな?美波さん」
私もソファーに座り1年前の調査書をお義父さんに手渡した。

書類を開いたお義父さんはビックリして
「美波さんこれは…」
「え、何?え!ちょっとコレ隆二なの?」

私は深呼吸してから話しはじめた。
「この調査書は約1年前のものです。私が気づいた時に調査してもらったのでその前からの関係だと思います。
この調査した時は健一郎も受験でしたし、隆二さんにも何も言えずにいました。
だから健一郎が大学に入学して落ち着いてから話そうと思ったんです。
ふぅ〜…… お義父さん、お義母さん。
私はもう限界です。
隆二さんと離婚させて下さい。
お願いします。

今日も隆二さんは出張ではなく彼女と草津温泉へ行くと思います。
先日宿から宿泊予約確認の電話がきましたし……」

「美波ちゃん……」とお義母さんはショックだったのか言葉に詰まってからポロポロ泣き出した。

「美波さん。何も気づいてあげられなくてすまなかった。辛い思いをさせて悪かったなぁ……
本当に申し訳ございませんでした。」
とお義父さんは頭を下げてるとお義母さんも
「本当にすみません。美波ちゃん」と頭を下げた。

「私の方こそお2人に相談もせずにこんな調査や離婚の意志を急にお話しして申し訳ございません」

「……」お2人は涙を流しティッシュで目頭を押さえていた。

私が違う茶封筒から離婚届を出した。

「美波さんは隆二との再構築は無理なんだね」

「はい…」

「わかった。月曜日に隆二が戻ってからサインさせる。
そして私がこの届けを役所へ提出するな」

「すみません。」

「美波ちゃんは札幌へ戻るの?」

「まだわかりません。今日はこの後健一郎にも直接話しをするつもりです。」

「ゔ……」とまた泣き出したお義母さん。

ギュッと奥歯を噛み締めてるお義父さんだった。

「すみませんが支度をしてから出かけますね」

「ああ。そうしなさい…」
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