切れない縁
健一郎とは帯広駅前で待ち合わせした。

「健一郎!」

「あ、母さん。いらっしゃい。」

「あ〜お腹空いたなあ。ねぇ健一郎、帯広の名物で美味しいものは何なの?」

「豚丼!!駅前に元祖のお店があると聞いたけどな」

「じゃあ、元祖って書いてあるあのお店で食べようよ!」

「うん。」
早速お店に入って注文した。

「ねぇ母さん。大事な話しって言ってたけど、急に帯広まで来る程なの?」

「うん。まぁ、健一郎のアパートへ行ってから話しするからね。ところで夕飯は何が食べたい?」

「煮物が食べたいなぁ」

「どんな煮物?」

「こんにゃくとかさつま揚げとか大根や椎茸も入ってるやつ。」

「ああ、お煮〆ね。その他は?」

「オムライス!」

「ケチャップごはんのオムライス?」

「そう。それ!俺が作っても上手くいかないんだよね〜タマゴが破けてばっかりだし、タマゴが母さんみたいにトロトロにならないんだよ」

「ふふふ。わかったわオムライスとお煮〆ね」

「あと、きゅうりの浅漬け。」

「あれはきゅうりをきって塩昆布と白だしを少し入れたら勝手に出来上がるよ?」

「俺だと聞いた通りやってもできないんだよ」

店員さんが「お待たせいたしました」と豚丼を運んできた。

想像していたよりも甘いタレだったが美味しくいただいた。
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