切れない縁
隆二は、これまで家族に尽くしてくれた美波が離婚届を置いて家を出た事に、かなり動揺していた。
とにかく急いで自宅へ帰らなければと焦っていた。
バレてないと思っていたのは俺の勝手な考えだったのか……
そしてつい2ヶ月前、
『なあ、隆二。
お前がこのまま村瀬と不倫なんか続けたら…
家族。会社での地位。出世。金。全て失う事になるんだぞ!』
という青木から忠告された言葉が、頭の中を駆け巡った。
「志穂、予定を変更して高崎に向かって新幹線で帰ろう」
「わかったわ。レンタカー返却の変更しなきゃダメよね」
「ああ、俺のスマホから…」山道で車が揺れてスマホが足元に落ちた。
それを拾おうとした隆二の目の前に道路を横切った小動物。
「危ない!!」とハンドルを切った隆二。