切れない縁
「あのね、井上のご両親の事なんだけど…
私は隆二さんの裏切りが許せなくて離婚しようと思ってあの家を出たけど、今は隆二さんも亡くなったし、この前も健一郎の友達が来るから手伝いに行ったら、びっくりするくらい2人とも一気に老け込んだ感じでね…
健一郎が帰省しなければ2人っきりの生活で大変だろうなって思ったの…
私は離婚できずにいまだに井上家の嫁な訳で〜
やっぱり井上のご両親と暮らした方がいいのかなぁって…」
私の話しを黙って聞いてくれた両親。
「なぁ、美波。まぁ隆二くんと離婚する為に井上家を出た訳だけど、隆二くんが亡くなったしなぁ…
美波の事を大切にして下さってるご両親だし。
長男の浩一さんも実家には戻れない状況だし。
母さんはどう思う?」
「私はね、隆二さんは亡くなったけど社会的制裁されたと思ったの。会社にも不倫がバレたみたいだったし…
美波が井上家で一緒に暮らしても誰も美波の事を悪く思わないと思うんだよね。
美波だって井上のご両親と暮らした方が安心なんじゃあない?どう?」
「うん…。じゃあお盆のお墓参りの時に家族みんなに相談しようかなぁ…」
「そうしてごらん。ところでお盆のお墓参りは俺たちはどうすれば良いかな?」
「お盆は来なくても良いけど、一周忌には参列してもらうことになると思う。」
「そうか。わかった」
「あちらのご両親も美波の考えを尊重して下さってるし、戻るとなればきっと喜ぶと思うわ」
「うん。話しを聞いてくれてありがとう。」
お父さんもお母さんも微笑みながら頷いた。