壊れるほどに愛さないで
『雪斗?』

桃葉の甘ったるい声が、聞こえてくる。

「何?」

思わず、自分でも思ってた以上に冷めた声がでた。今度、桃葉とは、一度話さないといけない。

もう、二人で会えないこと。
この関係を終わらせること。

『昨日、何処泊まったの?』

「え?なんで知ってんの?」

『えと、昨日雪斗の家向かってたら、雪斗が慌てて家から飛び出すのが見えて、追いかけたけど、見失っちゃって……暫く待ってたけど、帰ってこないから……なんとなく誰かの家に泊まったのかなって』

「ちょっと……急ぎの件で、恭平ん家」

もしかして桃葉は、美織が、俺の家に泊まったのを見かけたことがある?桃葉が、それに嫉妬して、美織に写真を送りつけた?いやでも、あの写真の撮り方……。

『……つき……』

「え?」 

ーーーー嘘つき?
 

『え?何でもない。また家いくね』

「桃葉、悪いけどもう」

『あ、電車きたから』 

「桃葉っ!」

桃葉は、俺の言葉を遮るように電話を切った。
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