壊れるほどに愛さないで
「え?それ、どういう事……?」
和は、眉を顰めると、心配そうに私の背中に触れた。
「まだ……友也かどうかは分からなくて……」
誰も居なくなった営業所で、私は、和に、ストーカー被害に遭っている事、友也が、雪斗の恋人の写真を持っていた事、そして、友也が別人に見えることがある事を包み隠さず話した。
「でも……雪斗君の恋人の写真を持ってたり、雪斗君殴りつけたり、その……美織に乱暴したりって……友也さんのこと疑っちゃう美織の気持ち分かるし、正直言って私も心配。警察には?」
「それは……考えて……ないの」
「友也さんじゃないかも、知れないもんね」
私は首を振った。
「友也でも友也じゃなくても……私は、友也を、警察に突き出すよう真似はできない……ずっと友也だけだったから……」
いつのまにか、和の顔が滲んで、すぐに和が、ハンカチで目尻を拭ってくれる。
友也との3年間の思い出が、頭の中を流れていく。
「でも……どちらにしても……もう友也とは居られない……私……」
和が、そっと私を抱きしめた。
「うん、大丈夫だよ。美織は、もう雪斗くんが、好きでしょうがないんだもん。美織は、罪悪感なんて、感じなくていいから……人を好きになるのに、時間も理由も、関係ないんだよ」
そう、もう私の心の中は雪斗でいっぱいだ。
いつも側にいてほしくて、雪斗が、笑うだけで幸せだと感じてしまう。
「でも……雪斗は……美野里さんが」
「美野里さんの事聞いたんだね……」