壊れるほどに愛さないで
「和……」

「大丈夫。ただ……一度友也さんとは、話さないとね。できれば、二人で話した方がいいとは思うけど……もし美織が心配なら、雪斗くんに同席してもらってもいいし、私ならいつでも一緒に行くからね」

「ありがと」

私は、ハンカチを返すと、和を見ながら、頷いた。

「よし、泣き止んだね、あと数時間お仕事がんばろ!……ってあれ?」

和みが、私のデスクの端を指差した。書類には、付箋が付いていて、『東都大学附属病院 待野依頼分』と書いてある。

「あ!大変、雪斗に渡し忘れて……」 

和が、すぐにタクシー会社に電話する。

「美織、5分でタクシー来るから、雪斗くんに届けておいで、あったかくしていくんだよ」

私は、頷くと、すぐにコートを羽織って書類を抱えた。
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