壊れるほどに愛さないで
「ふふっ、三橋さん、さすがですね。当たりです」
「お、名探偵の美織ちゃんのお墨付き貰っちゃったね」
「あげてませんよ」
私たちは、小声でクスクスと笑った。
「それにしても……院長の回診って凄いですね」
「まぁ、橘院長は、海外からも問い合わせがくる位優秀な、心臓外科医だからね」
「た、ちばな?院長?」
三橋が、目を丸くした。
「知らなかった?院長は、橘友典院長。橘は、一文字で、樹木の橘と同じだよ。ちなみに一人息子がいて、なぜか、病院継がずに、医療機器メーカーに勤めててさ、滅多に見かけないけど、俺も一度見たことあるかな」
相変わらず病院内の事に詳しい三橋は、饒舌に話す。
「あ、そうなんですね……知らなかった」
(橘……ありふれてもいないが、珍しい苗字でもない)
私は、辛うじて平然を装ってみるが、心臓は、どんどん騒がしくなっていく。
「えっと、息子の名前、何だっけな、確か……」
私は、大きく深呼吸しながら、三橋を見上げた。三橋の瞳を見ながら、呼吸が、浅くなってくる。最近、すぐに記憶発作を起こしそうになるのは何故だろうか。
「美織ちゃん?大丈夫?」
看護師の三橋が、私をじっと覗き込むと、額に手を当てた。
「……熱は無さそうだな、心臓、苦しい?」
体が、思わず小さく跳ねて、私は、三橋の腕をそっと押し返した。
「あ、大丈夫です。それよりも……その院長の息子さんの名前って?」
「お、名探偵の美織ちゃんのお墨付き貰っちゃったね」
「あげてませんよ」
私たちは、小声でクスクスと笑った。
「それにしても……院長の回診って凄いですね」
「まぁ、橘院長は、海外からも問い合わせがくる位優秀な、心臓外科医だからね」
「た、ちばな?院長?」
三橋が、目を丸くした。
「知らなかった?院長は、橘友典院長。橘は、一文字で、樹木の橘と同じだよ。ちなみに一人息子がいて、なぜか、病院継がずに、医療機器メーカーに勤めててさ、滅多に見かけないけど、俺も一度見たことあるかな」
相変わらず病院内の事に詳しい三橋は、饒舌に話す。
「あ、そうなんですね……知らなかった」
(橘……ありふれてもいないが、珍しい苗字でもない)
私は、辛うじて平然を装ってみるが、心臓は、どんどん騒がしくなっていく。
「えっと、息子の名前、何だっけな、確か……」
私は、大きく深呼吸しながら、三橋を見上げた。三橋の瞳を見ながら、呼吸が、浅くなってくる。最近、すぐに記憶発作を起こしそうになるのは何故だろうか。
「美織ちゃん?大丈夫?」
看護師の三橋が、私をじっと覗き込むと、額に手を当てた。
「……熱は無さそうだな、心臓、苦しい?」
体が、思わず小さく跳ねて、私は、三橋の腕をそっと押し返した。
「あ、大丈夫です。それよりも……その院長の息子さんの名前って?」