壊れるほどに愛さないで
心に巣食う疑惑は、確信に変わってしまうのだろうか?

流れる車窓を、眺めれば、友也との楽しかった思い出の日々が、スローモーションで流れていく。

『美織、好きだよ』

『友也、好き』

そう言って、笑い合った日々は、紛いモノだったのだろうか。

友也への愛情は、決してカタチを変えることなど無いと信じてた私は、もう居ない。

きちんと、友也に会って伝えなければならない、もう、一緒には居られないという事を。

私は、震える指先でスマホの液晶画面に友也の名前を浮かべる。

ーーーーその時だった。スマホが、再度震えた。

『美織、今日会って話したい事があるんだ。あんな事をしておいて、本当にごめん。自分勝手だよね。でも、どうしても会いたいんだ』

私は、一呼吸置いてから、一言、『分かった、友也の家に行く』、それだけを送った。
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