壊れるほどに愛さないで
「美織……今はお互い……感情的になってる部分も大きいし、今すぐ結論は出さないでいいと思うんだ。もう一度……ゆっくり考えて欲しい……この三年を僕は、なかったことにはできないから……」

私は、小さく首を振った。

「ごめんなさい……友也が、納得できる返事は、きっとできない……それに……」

友也が、唇を噛み締めるのを見ながら、私は、鞄から本を取り出した。

その本をみてすぐに、友也が、大きく目を見開いた。

「今日、どうしても……友也に聞きたい事があって来たの……この人……誰……?」

「その本……僕の本棚から?」

「うん……健診の時に借りて、挟まってた。あと……病院の院長、友也のお父さんだったんだね」

私は、喉に押し込めていた疑問を一気に吐き出す。一気に吐き出しておかないと、友也の答え次第で、私の心と身体は、友也を完全に拒否してしまいそうだから。

「友也、答えて」

友也は、暫く黙っていたが、唇を湿らせると、静かに口を開いた。
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