壊れるほどに愛さないで
「嫌っ!離してっ!」

「美織!僕の話を聞いて!美織は、どこまでアイツから聞いたのっ!」

(アイツ?雪斗の事、やっぱり知ってたんだ)

「離してっ!……きゃっ……」

友也の手を振り解いた反動で、私は、床に尻餅をついた。

「美織、大丈夫?」

「来ないで!」

私は、差し出しだされた友也の掌を弾くと、咄嗟に後退りしていた。

友也なのかもしれない。私に手紙や写真を送ったのは……友也だ。きっとそうだ。

友也のストーカーが、原因で美野里さんが亡くなったと仮定して、背格好やどことなく雰囲気が似ている私を、父親が経営してる病院で見かけて、近づいてたんだとしたら?全てが繋がってくる。

「美織、そんな怖がらないで、大丈夫だから……」

ずるずると、お尻を引き摺るように後退りしているうちに寝室へと、入った私は、開けっ放しになっているデスクの引き出しが見えた。

友也に気づかれないようにデスクの方へと後退りしていく。

(やっぱり開いてる……)

「美織、おいで、話をしよう」
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