壊れるほどに愛さないで
友也と付き合って三年。この家に出入りし始めた頃、一度だけ、この引き出しは、大事なものが入ってるから開けないで欲しいと言われた事があり、私は、開けたことも開けようと思ったこともなかった。

誰にだって言いたくない事、秘密にしたい事はあるはずだから。

ーーーーでも、今は違う。

私は、勢いよく立ち上がると同時に、デスクの引き出しに手をかけた。

「ダメだ!美織!」

友也の制止も無視して、私は、引き出しごと床にぶちまけた。

バサバサッと撒き散らされたモノを見下ろしながら、私は、すぐに言葉を失った。


「な……に、これ……」


見下ろせば、大量の美野里の隠し撮り写真が
床に散らばっていた。
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