壊れるほどに愛さないで
私は、気づけば、自宅へ帰らず、此処に来ていた。怖くて、涙が溢れそうで、雪斗に会いたくてどうしようもなくて。

インターホンを押せば、扉は、すぐに開かれた。

「美織っ」

雪斗は、私の手を引くと、玄関に引き入れ、すぐに抱き寄せた。

「……ひっく……雪斗……私ね」

「大丈夫だから……何があった?また写真が入ってた?それとも、誰かに見られてた?」

「違うの……友也が……」

雪斗が、私から少し身体を離す。

「まさか、会ったの?アイツと……」

「ごめん……なさっ……」

ポロポロと無意識に流れた涙を救うと、雪斗は、そっと私の肩を抱いた。

「怒ってる訳じゃないから……俺んとこ来てくれてありがとう。もう……大丈夫だから……おいで、身体冷えてるから」

私は、雪斗に肩を抱かれたまま、リビングのソファーに腰を下ろした。雪斗が、側に置いてあったブランケットで私を包む。そして頬にそっと触れた。

「美織、何があったか話せる?」

「……うん……あの、ね……」

声が、掠れている。気づけば、口の中は、カラカラだ。

「ちょっと、待ってて」

気づいた雪斗が、すぐにマグカップにお白湯を注いで持ってきてくれる。
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