壊れるほどに愛さないで

「美織……桃葉の事だけど、美織の恋人の事知ってたんだな、何処かで見かけた?とか?」

「分からない。友也とは、定期検診にはほとんど一緒に行った事ないから。ただ、桃葉さんなら、友也が、病院長の息子っていうのは病院で働いてるなら知り得る情報だと思うし、もしかしたら、私と友也が、一緒の所を見たことがあるのかも知れない」

あの三橋も知ってた位だ。桃葉が、働いてる中で友也の事を知り、私と一緒の所を見かけていてもおかしくは無い。

「でも、それじゃあ桃葉が、あの手紙と写真を送った可能性もあるってことだよな」

「うんと……それは、違うかも……」

「何で?」

「桃葉さんは、私と雪斗が、一緒にいることが嫌な訳でしょう?なら私が、手紙と写真から友也に疑問を持って、挙句別れることになるのは、桃葉さんからしたら、メリットが、ないと思うの」

「そう言われると、確かにな……」

雪斗は、顎に拳を添えたまま、暫く考えこんでいた。私は、雪斗に目を遣ると、恐る恐る、一番気になっている疑問を吐き出した。

「あの、雪斗……私が……美野里さんをっていうのが一番……わからなくて……」

雪斗の視線が、一瞬揺れるのが見えた。

「あ、桃葉が、美織の事悪く言ったのは……俺のせいだから……。美織が、美野里をっていうのは気にしなくて大丈夫だからさ。本当、ごめんな」

雪斗は、私と視線を合わせると申し訳無さそうに、眉を下げた。
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