壊れるほどに愛さないで
美野里が、今から観に行くのは、あの映画だ。病に侵された女の子が来世は恋人と添い遂げたいと願う、恋愛小説の映画化がされて、公開されたばかりだった。美野里の一番好きな恋愛小説だ。
『ふふっ……雪斗も心配症だなぁ』
待野雪斗に、メッセージを送り終わって、幸せそうに笑う、美野里の手首を僕は、思わず掴んでいた。
『何?ともくん、どうしたの?』
美野里は、僕の瞳を不思議そうに覗き込んだ。
『……一人で映画館まで危ないよ、車、車検出してるし、今日は、出かけるのやめてよ』
『ともくん、いつも、送ってくれてありがとうね。今日は、大丈夫。最近は、無言電話もないし、誰かにつけられてる感じもしないし……』
『でも、この間も手紙届いてたじゃん。そろそろ警察に相談しよう?ストーカーだよ!』
僕は、いつも、最寄りの駅まで彼女を車に乗せて送っていた。
『ともくんも心配しすぎだよ、大丈夫だから』
『大丈夫な訳ないでしょ!』
珍しく語尾を強めた僕に、美野里が、少し驚いた顔をする。
初めは、誰かにつけられている、見られている感覚があると話していたが、やがて、手紙、無言電話、盗撮写真と美野里の生活を、のぞき見るような、いつも監視しているかのように、その誰かもわからない、人物の行動は、エスカレートしているように見えた。
『でも、駅まで歩いても15分程だし、映画館までいけば、雪斗が、待ってるから』
僕は、彼女の口から、雪斗という言葉を分かっていても聞きたくなかった。このまま美野里を行かせたら、映画をみて、そのまま泊まり、美野里は、待野雪斗にまた抱かれる。
僕は、どうしても美野里を行かせたくなかった。ストーカー云々なんて、口実だ。
もう限界だったから。
彼女しか見れなくて、彼女しか欲しくなかったから。
『……行かせない』
ずっと閉じ込めていた感情は、あっと言う間に心から黒いモノと一緒に漏れ出していく。
『ふふっ……雪斗も心配症だなぁ』
待野雪斗に、メッセージを送り終わって、幸せそうに笑う、美野里の手首を僕は、思わず掴んでいた。
『何?ともくん、どうしたの?』
美野里は、僕の瞳を不思議そうに覗き込んだ。
『……一人で映画館まで危ないよ、車、車検出してるし、今日は、出かけるのやめてよ』
『ともくん、いつも、送ってくれてありがとうね。今日は、大丈夫。最近は、無言電話もないし、誰かにつけられてる感じもしないし……』
『でも、この間も手紙届いてたじゃん。そろそろ警察に相談しよう?ストーカーだよ!』
僕は、いつも、最寄りの駅まで彼女を車に乗せて送っていた。
『ともくんも心配しすぎだよ、大丈夫だから』
『大丈夫な訳ないでしょ!』
珍しく語尾を強めた僕に、美野里が、少し驚いた顔をする。
初めは、誰かにつけられている、見られている感覚があると話していたが、やがて、手紙、無言電話、盗撮写真と美野里の生活を、のぞき見るような、いつも監視しているかのように、その誰かもわからない、人物の行動は、エスカレートしているように見えた。
『でも、駅まで歩いても15分程だし、映画館までいけば、雪斗が、待ってるから』
僕は、彼女の口から、雪斗という言葉を分かっていても聞きたくなかった。このまま美野里を行かせたら、映画をみて、そのまま泊まり、美野里は、待野雪斗にまた抱かれる。
僕は、どうしても美野里を行かせたくなかった。ストーカー云々なんて、口実だ。
もう限界だったから。
彼女しか見れなくて、彼女しか欲しくなかったから。
『……行かせない』
ずっと閉じ込めていた感情は、あっと言う間に心から黒いモノと一緒に漏れ出していく。