壊れるほどに愛さないで
「美織、それは違うよ……そう美織に思わせたくなくて、ずっと言えなかったんだ。僕は、いつのまにか空っぽの心を、美織に癒やしてもらっていたんだよ。美野里じゃない。僕は、美織に側にいて欲しいんだ。美織の事を心から愛してる……僕の心が壊れてしまいそうな程に……」
「友也っ……」
「本当に……美織が好きなんだ……ずっとずっと隠してて……ごめん……」
私は、友也にしがみつくように胸元に顔を埋めると、ただ、溢れる涙をそのままに、友也に身体を預けていた。
「友也っ……私……」
雪斗の顔が、瞳を閉じた涙の向こう側に映る。
「雪斗は……?この事……ひっく……」
「……待野雪斗は、知らないと思う……身内のごく僅かの人物しか知らない事だから。お葬式も家族葬にしたから……ただ、美野里が刺されて亡くなったことしか彼は、知らないと思う」
雪斗は、私の心臓が、美野里の心臓だと言う事を知らない。間接的とはいえ、私が、美野里の命を奪ったも同然だ。
「私……どうしたらいいの……」
雪斗は、この事を知ったらどう思うだろう。
それでも、初恋だからと、私を見て、私自身を丸ごと愛してくれるだろうか。それとも、私への愛は、カタチを変えてしまうのだろうか。
愛する人の命を奪った私を愛することなど、できるのだろうか。