壊れるほどに愛さないで
「ひっく……もう、わかんないよ……友也……」

「心ん中ぐちゃぐちゃだよな、ごめん」 

こんな時だけ、友也に答えを求める私は、最低だ。友也は、優しく私の背中を摩り続ける。

「大丈夫だよ、僕が、ずっと側にいるから。ちゃんと忘れさせるから……」

「雪斗を忘れるなんて……そんな事……できな……それにいっぱい……友也を傷つけて……疑って……」

「違うよ。そうさせたのは、僕のせいだよ。だから、美織は、罪悪感なんて持たなくていいから……今まで通り僕の側に居てくれたら、それでいいから」

友也が、私を、キツく抱きしめた。

もう涙なんて、止まらなければいい。
心も壊れてしまえばいい。
いっそもう何もかも忘れてしまいたい。

雪斗が、好きだから。

ーーーーもう雪斗を愛してるから。

「美織を愛してる」

「友也……」

「愛してるから……」

私は、なんて狡くて弱いんだろう。

私は、友也の体温を感じながら、雪斗への恋慕の感情を抱きしめて、全てから目を逸らすように瞼を閉じた。
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