壊れるほどに愛さないで

『何？僕の言うこと信じられない？』

「当たり前だろっ！美織にあんな事しておいて！アンタのしてる事は、犯罪だ！今どこにいる！美織を返せ！今なら警察には、言わない！」

『はっ、いいかげんにして欲しいなっ！僕は美織にストーカーなんてしない！美織を怖がらせるような事、いくら君に嫉妬したからってしない！』

（え？俺に嫉妬した？）

確かに、初めて郵便受けの下で橘友也に会った時、俺は、強い嫉妬の感情を橘友也の目から感じ取った。

『……そもそも、毎晩送っていたくせに、何故、今日、美織を一人にしたんだ？！僕が、毎晩美織を見守ってたから、ストーカーに連れ去られないですんだけど、君のせいで、美織は、怖い思いも、痛い思いもをしたんだ！少しは、反省して欲しいな！』

「痛い……思い？美織は？！美織を出してくれ！」　

橘友也の呆れたような溜息が、返事をした。

『……悪いけど、それは無理。美織は、泣き疲れて、さっき眠ったばかりだから。画面見てよ』

「え？」

俺は、通話をスピーカーにすると、液晶画面を食い入るように見つめる。画面には、美織の部屋のベッドで美織が、眠る姿が映し出されていた。その表情は、穏やかだが、かなり泣いたのか目尻が赤く爛れており、唇の端が切れている。

「おい！美織を泣かせたのも、殴ったのも、橘！やっぱりアンタじゃないのか？！」

画面は、再び黒くなり、俺は、慌てて、スマホを耳に当てた。