壊れるほどに愛さないで
「……え?何言って、るの?」
「だって俺が美野里殺さなかったら、美織は、今頃心臓発作で死んじゃってたかもでしょ。そんでもって、今の美織は美野里でもある。俺はついに美野里と一緒になれるってことだよな。美織、今度こそさ二人で幸せになろ」
────狂ってる。
「……おかしなこと……言わないでっ」
「おかしい?誰が?まさか俺じゃないよね?」
三橋は薄く笑うと、いつものように唇を持ち上げる。
「あ。もしかして怒ってる?色々美織の周り嗅ぎ回ったこと?写真撮ったこと?手紙?しょうがないじゃん。美野里の心臓持ってるとかマジで気になるし」
三橋の瞳は笑っているが冷たい。言葉にも感情にも温度が全く感じられない。まるで死人と一緒だ。
「美野里さん……の心臓を私が持ってるから私をストーカーしたの?……美野里さんのことがずっと忘れられなかったから」
「うーん、ちょい違うかな。俺は美野里を忘れられないんじゃなくて、俺は麻里さんが忘れられない」
「え? 麻里……さん?」
点と点が繋がらない。
三橋は、美野里に好意を抱いていたのではなく、母親の麻里に特別な感情を抱いていた?
「麻里さんは、美野里の母親だよ。俺、片親なんだけど母親の内縁の夫?と一緒に小さい頃から、理由もなくよく腹殴られてさ。肋骨折れたり、内臓損傷するたびに入院してて結構可哀想な子供だったんだよな。で、高校ん時に肋骨折られて入院した時の担当看護師が麻里さんだった。そこのマリア像みた?麻里さんってマジで聖母マリアみたいな人でさー、あんな人になりたいっつーか、あの人の心臓が欲しいって言うかさ」
三橋は、饒舌に捲し立てながら、十字架に磔にされているイエスキリスト像に視線を移しながら人差し指で自信の唇をなぞった。
「美織に話してて思い出したけど、俺が看護師になった理由は、麻里さんなんだよな」
私は、気づかれないように後ろ手に縛られている両手首の紐の結び目を擦り合わせていく。
「だって俺が美野里殺さなかったら、美織は、今頃心臓発作で死んじゃってたかもでしょ。そんでもって、今の美織は美野里でもある。俺はついに美野里と一緒になれるってことだよな。美織、今度こそさ二人で幸せになろ」
────狂ってる。
「……おかしなこと……言わないでっ」
「おかしい?誰が?まさか俺じゃないよね?」
三橋は薄く笑うと、いつものように唇を持ち上げる。
「あ。もしかして怒ってる?色々美織の周り嗅ぎ回ったこと?写真撮ったこと?手紙?しょうがないじゃん。美野里の心臓持ってるとかマジで気になるし」
三橋の瞳は笑っているが冷たい。言葉にも感情にも温度が全く感じられない。まるで死人と一緒だ。
「美野里さん……の心臓を私が持ってるから私をストーカーしたの?……美野里さんのことがずっと忘れられなかったから」
「うーん、ちょい違うかな。俺は美野里を忘れられないんじゃなくて、俺は麻里さんが忘れられない」
「え? 麻里……さん?」
点と点が繋がらない。
三橋は、美野里に好意を抱いていたのではなく、母親の麻里に特別な感情を抱いていた?
「麻里さんは、美野里の母親だよ。俺、片親なんだけど母親の内縁の夫?と一緒に小さい頃から、理由もなくよく腹殴られてさ。肋骨折れたり、内臓損傷するたびに入院してて結構可哀想な子供だったんだよな。で、高校ん時に肋骨折られて入院した時の担当看護師が麻里さんだった。そこのマリア像みた?麻里さんってマジで聖母マリアみたいな人でさー、あんな人になりたいっつーか、あの人の心臓が欲しいって言うかさ」
三橋は、饒舌に捲し立てながら、十字架に磔にされているイエスキリスト像に視線を移しながら人差し指で自信の唇をなぞった。
「美織に話してて思い出したけど、俺が看護師になった理由は、麻里さんなんだよな」
私は、気づかれないように後ろ手に縛られている両手首の紐の結び目を擦り合わせていく。