壊れるほどに愛さないで
「でさ看護師になったら、麻里さんに告白するつもりだった。絶対振り向いてくれるって分かってたんだ」
「どう……してそんな事……言い切れるんですか?……人の本当の気持ちなんてわからないのに……」
三橋は、キョトンとすると馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「俺のこと好きで大切じゃなきゃ、毎日優しく身体拭いてくれたり気遣ってくれたり、ましてや、あったかい言葉なんてかけないでしょ?それなのに……あっけなく心臓病が悪化して死ぬなんて……許せないよね」
「何……言ってるの……許せないのは貴方の方よっ!……自分勝手な理由並べ立てて……麻里さんは看護師だよ、きっと誰にだって同じように接してたっ」
「は?何言ってんの?何怒ってんの?……俺のことも俺の気持ちも無視して、麻里さんは勝手に死んだ!怒りたいのは俺の方だろっ!」
バンッと右足で三橋が、目の前の木製椅子を蹴り飛ばす。衝撃で椅子の脚が折れるのを見て、私の全身はまた小刻みに震え出す。
「クソッ!クソッ!なんでだよっ!」
三橋は、拳を長机に叩きつけながら自身の唇を強く噛み締め、溢れだした血液の味を確かめるとすぐに笑いだした。
「あはははははっ」
「……何、が……面白いの……?」
三橋が自身の血液で赤くなった歯を舌なめずりした。
「あー、笑った笑った。急に思いだした。な、美織知ってる?俺さー、幸運にも高校の記念創立パーティーで麻里さんの娘をみつけたんだよね。瓜二つですぐに分かってさ、マジですっげー嬉しかった。こんなのもう運命じゃない?美野里は俺と恋に落ちる運命だったんだよ。麻里さんもきっと喜ぶ……だから……麻里さんの娘である美野里の心臓を持ってる美織は今度こそ俺を選ばなきゃいけない。これは運命だから」
擦れた手首が痛む。それでも、縛られている麻紐は少しずつ解けていく。私は痛みを堪えながら、擦り合わせるスピードをさらに早めた。
(急がないと……)
「どう……してそんな事……言い切れるんですか?……人の本当の気持ちなんてわからないのに……」
三橋は、キョトンとすると馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「俺のこと好きで大切じゃなきゃ、毎日優しく身体拭いてくれたり気遣ってくれたり、ましてや、あったかい言葉なんてかけないでしょ?それなのに……あっけなく心臓病が悪化して死ぬなんて……許せないよね」
「何……言ってるの……許せないのは貴方の方よっ!……自分勝手な理由並べ立てて……麻里さんは看護師だよ、きっと誰にだって同じように接してたっ」
「は?何言ってんの?何怒ってんの?……俺のことも俺の気持ちも無視して、麻里さんは勝手に死んだ!怒りたいのは俺の方だろっ!」
バンッと右足で三橋が、目の前の木製椅子を蹴り飛ばす。衝撃で椅子の脚が折れるのを見て、私の全身はまた小刻みに震え出す。
「クソッ!クソッ!なんでだよっ!」
三橋は、拳を長机に叩きつけながら自身の唇を強く噛み締め、溢れだした血液の味を確かめるとすぐに笑いだした。
「あはははははっ」
「……何、が……面白いの……?」
三橋が自身の血液で赤くなった歯を舌なめずりした。
「あー、笑った笑った。急に思いだした。な、美織知ってる?俺さー、幸運にも高校の記念創立パーティーで麻里さんの娘をみつけたんだよね。瓜二つですぐに分かってさ、マジですっげー嬉しかった。こんなのもう運命じゃない?美野里は俺と恋に落ちる運命だったんだよ。麻里さんもきっと喜ぶ……だから……麻里さんの娘である美野里の心臓を持ってる美織は今度こそ俺を選ばなきゃいけない。これは運命だから」
擦れた手首が痛む。それでも、縛られている麻紐は少しずつ解けていく。私は痛みを堪えながら、擦り合わせるスピードをさらに早めた。
(急がないと……)