恋の神様がくれた飴


みよは不良と連んでやりたい放題
警察からの呼び出しに
血相を変えて飛び出す母は

『祥子さんじゃないと嫌だって』

何度泣いて帰っただろう

毎日父が叔母さんの家に通うことで
みよは父と叔母さんの娘になったようだと泣く母を何度見ただろう

結局、親子で話し合うこともなく

二年後

突然、髪を黒く染めたみよが帰ってきた

慌てたのは両親

腫れ物に触るような扱いで
気を使う母を見るのは辛かったけど

ここから修復できれば良いと安易に考えてしまった

それが叶わないと知ったのは


『受験の為に帰っただけ
此処に帰りたかった訳じゃない』


冷たい目を向けるみよの威圧感に
茫然となる母を見た時だった



気がつけば、父とみよ、母と私というキッチリとした線引きがされていた





大学を卒業すると
そのまま父の営む不動産会社に就職をした

仕事の関係で参加したセミナーで
知り合った彼が長男だと父に告げると

『みよを後継者にするから。えりは嫁に行ってもいいよ』

特に反対もなく相手の事も聞かれなかった

そのまま順調に付き合って
いつかは結婚すると思っていたのに

またもみよがやってくれたのだ!



大学の進級試験を控えた十二月
この街で有名な青野彬と付き合い始めたみよ

青野グループの御曹司ということもあって良い噂は聞いたことがない

発覚したのは、誘拐事件で
両親の慌てようは見るに耐えなかった

結局押し切られる形で認めた付き合いに

父は養子の話を私に戻してきた

・・・困る

そうは思っていても父にお願いされると弱い私

彼とのデートでそれとなく口にしたら
あっけなく振られた

ね?どう考えてもみよの所為よね?

それなのにあの子は天真爛漫というか
甘え上手で憎めない子

計算しなくても相手がコロッと騙されちゃう天性の人たらしだから


結局、姉の私が諦めるしか道はない








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