俺は◯んで、幼なじみの体を乗っ取った
この直後、鈴子さんは華さんの中から消えてなくなった。

つまり鈴子さんは本当の死を迎えたという事なのか…

「お〜い…」

遠くから孝さんが走ってくるのが見えた。

一生懸命に走る姿は小学5年生の姿をした可愛らしい少年だった。

黄色い帽子に黒いランドセル姿は学校からそのままやって来たのだろう。

「良かった。間に合ったんだね?」

「・・・・・」
「・・・・・」

「どうした?2人とも浮かない顔をして…」

「ごめんなさい…」

「何を謝ってるんです。謝る事なんて…まさか…」

「お婆ちゃんは逝きました」

「なっ‥何て事だ。さよならも言えないなんて」

「俺も間に合いませんでした」

「くそぉ」

悔し涙を流している孝さんを華さんは優しく抱きしめてあげていた。

その姿は泣いている小学生の弟を抱きしめている女子高生のお姉さんのようにしか見えなかった。
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