余命1年の人生
しかも、目指していた浴衣コーナーは帽子屋さんのすぐ隣にあったから、また歩き回らずに済んだ

「あ、ねぇこのグレーの帽子なんか鮫島くんにピッタリだよ」

「この、黒でロゴの入った帽子も良さそう」

私たちはニット帽子を手に取って鮫島くんの頭に被せてみたりした

帽子屋さんについて一安心してる私たち

実はさっきまで周りのお客さんが鮫島くんの周りを囲んでて、なかなかたどり着かなかった

サインを求められたり、握手を求められたり

芸能人は本当に大変なんだなって感じた日

そして鮫島くんは囲んでいたファンを軽くあしらって、私たちの元へ駆け寄ってきた

「ごめんね?今日の俺はプライベートだからさ、またライブに来てな」って、すごい笑顔で言ってた

いや、ここで態度悪くしたらファンが減るのは目に見えていたけどね

「なぁ、達哉…このつば付きの黒い帽子もどうだ?」

楓が持ってきたのは有名ブランドのロゴが入っているつば付きの帽子だ

すごくかっこいい
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