余命1年の人生
「ことちゃん、達哉も蛍も元気に育ったんだな」

「達哉のことも知ってるの?」

お父さんの口から出たもう1人の名前は『達哉』だった

「あぁ、だって達哉は琴美の幼なじみだろ?ほら、幼稚園も小学校も一緒でよく話してくれたり、家に連れてきてくれたりしただろう?」

お父さん、そんな小さい時のことまで覚えててくれてたんだ

「でも、泣きつくのは俺じゃないよ。友達が待ってるよ」

えっ

でも耳を済ましたら、何となく声が聞こえてきた

「お父さんともっと話したいよ。やっと出逢えたのに」

「いや、琴美はまだここに来るのには早いよ。ほら、友達が待ってるから。あそこにドアが見えるだろ?あのドアを開ければ友達に会えるから」

お父さんが指さしたのは隠れていたと思っていたドアだ

「俺が合図をしたら、振り返らずにドアまで走ること。振り返ったら今度こそ目は覚まさなくなる」

「え、怖い」
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