エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 それにはっきり答えられない自分は、やっぱり引き返せないところまできてるんだろうか。
 黙り込んだ私の髪を昴さんは優しく撫でた。

 思い悩んだところで、ふと旅行前に兄と話したことを思い出す。

『香澄が決めたことに口出しするつもりはない。でも心配はしてるから……なにか悩むことがあれば連絡しろよ』

「そういえば……スマホずっとみてなかった」

 ベッドから起き上がり、枕元にあった鞄を開いてスマホを取り出すと、兄と優太先生からラインが来ていた。

 兄のを開くと〈ちゃんと帰ってこいよ〉とメッセージがきている。

(考えてること、読まれてるのかなぁ)

 思わず苦笑してしまう。
 優太先生のを開くと〈待ってるから〉と入っている。
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