エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 彼は額にちゅ、と軽くキスをすると、するりと背中を撫で、手を下に這わせる。
 そのまま首筋に唇を埋め、痛いくらいのキスを落としだした。

「あの、えっ……ま、また……?」
「ギリギリまでこうしていたい」

(同じこと思ってた)

「香澄、愛してる」

(私も……)

 だけど、本心は告げられなくて、ただ彼の唇や熱を感じるためにそっと目を瞑る。


 チェックアウトまでずっと抱き合って、それからランチを取ると空港に向かった。
 口を開いたらいらないことまで言ってしまいそうで、私は黙り込んだ。

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