エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

「近所にね、仲のいいおじいちゃんとおばあちゃんがいて、よく手を繋いで歩いてるところみかけて、ふたりであんなふうになれたらいいなって話してるんです」
「そういうの憧れますよね、わかります」

 自分も昔からいつかそうなればいいなと思ってた。
 相手は昴さんしか想像したことなかったけど……。

 そう思って、私は思い出せないくらい昔から、昴さんだけしか好きではなかったことを再確認させられる。

「これから子どもを産んで、子どもを育てて……子どもが独立したら老夫婦で旅行してまた一緒の便に乗ってたりして。その時も絶対声かけちゃいますから」

 最後に里穂さんが無邪気にそう言って微笑んで、私はそれに何とか頷いて返した。

< 109 / 219 >

この作品をシェア

pagetop