エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 胸が限界まで高鳴って、口から、言葉にならない声が何度も出た。
 昴さんが抱きしめる腕に力を籠めると、突然耳元で囁く。

「すまないが少しこうさせていて」

 昴さんの声、こんなに近くに感じたのははじめて……。
 匂いだって……。

「は、はい……」

 ロビーだというのに、思わず手を彼の背中に回そうとした、その時――。

「こういうわけだ。言っただろ? 俺は彼女にしか興味がない。自分の時間は全部彼女に使いたい。君との時間はもちたいと思わないんだ」

 彼は言う。
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