エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
「どういう……」
意味がわからない、と思って顔を上げようとすると、彼がまた言う。
「だから、諦めてくれ。迷惑だ」
(め、迷惑…? まさか気持ちがバレた?)
背中がヒヤリと冷えた気がした。
「最低っ……!」
突然、背中側から甲高い女性の声が響く。
次の瞬間にもう一度ぎゅうと強く抱きしめられて、ぐるりと百八十度方向転換された。
「ふぁっ……!」
バシッと強い衝撃を感じたけど、それが私を抱きしめたままの彼の背中への衝撃だと気づくのに時間はかからなかった。
なんとか身をよじって見てみると、スタイルのいい女性が怒りながら去っていく後ろ姿。
一瞬振り返った彼女と目が合うと、キッ、と恨みを込めた瞳で睨みつけられた。