エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 昴さん料理できたの?
 そう思って昴さんを見つめると、昴さんは上にシャツを羽織り、キッチンにやってきた。
 案外手早い手つきで、フライパンを扱う。兄といい勝負かも、と思っていると15分も経たないうちに、ナポリタンを作ってしまった。

「うわ、おいしそう」
「うまいんだ」
「自信過剰ですね」

 私が言うと、昴さんは不敵な笑みを浮かべる。
 それすらかっこいいんだから、昴さんってずるい。

「「いただきます」」

 二人で向かい合って手を合わせた。
 昴さんは一口食べるなり「うまいな」と満面の笑みを浮かべる。

 私は昴さんの反応を見て、心底ほっとしていた。
 必要以上に分量もしっかり測った甲斐がある。

 あと何回作ってあげられるかわからないからこそ、一回でも美味しい料理を食べさせてあげたかった。
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