エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
「そう言えば、パリで行きたい所きまった?」
「はい、やっぱり定番のところも行きたいんですけど、美術館で行きたいところが見つかって」
「そうか」
「でも、本当に大丈夫なんですか? 一週間も……」
「あぁ、そのためにやって来たようなものだし。戻ってからも、もう少し時間も取りやすくなるようにしてるんだ」
「安心です……ずっと忙しかったから」
私がいなくなった後、昴さんがまたどういう生活をするのか不安だったけど、少し休めるならよかったと思う。
もし将来、昴さんがだれかを本気で好きになって、結婚するなんてことになっても安心だ。
きっといつか、この席に誰か座るんだな、と思うと心が酷く痛む。
だけど、そうでないといけない。こういう形でしかもう彼の力にはなれないのだから。