エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
考えていると、昴さんは、ごちそうさま、と席を立った。
それから着替えて、ジャケットを羽織って玄関まで行く。
一瞬でも近くにいたくて、玄関までついて行ってしまう。
すると昴さんは、こちらを振り向いて困ったように眉を寄せた。
「そういう顔をするな。行きづらくなる」
「そういうって……?」
昴さんは小さくため息をついて、
「そういう顔だ」
と言うと、私の前髪をそっとあげ、額にキスをする。
「じゃ、行ってきます」
「い、いってらっしゃい……」
一瞬だったけどすごく驚いて、私はその場にずるずると座り込んでいた。
これまでの結婚生活でこういうことしたことなかったのに……また、やっぱり疲れてるのかな?
でも、どんな理由でもやっぱりうれしくて……
私は宝物を守るように額に両手でそっと触れた。