エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
それから数日して、私は朝からある場所へ向かっていた。大阪の『国立こども総合医療センター』だ。
新しくできたと言うだけあって、15階建てのそこはすべてがきれい。ガラス張りの窓からは優しい日光が病院内に差し込んでいた。
病棟保育士も多く在籍しているみたいで、みんな明るく子どもに接している様子はうらやましくもあった。
少し様子を見た後、ラインを入れようかなと考えていると、ちょうど探していた顔がある。
花畑優太先生だ。
「こんにちは、ちょっと早く着いちゃいました」
「香澄ちゃん、いらっしゃい」
「すごくいい病院ですね。みんな明るくて」
「うん、そうなんだ。もう少しちゃんと案内するよ」
「いえ、またすぐ帰るので」
「わかった。下のカフェで待ってて。もうすぐ交代だから!」
「急がなくて大丈夫です」
優太先生は何度も振り返りながら歩き出す。
その先々で子どもたちが優太先生に声をかけていた。
優太先生はもうすっかりここの医師だ。