エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
優太先生は眉を下げる。
「そんなに結論を急がなくても」
「私、結婚するなら昴さんとしか考えられなかった。忘れるためにも大阪に来たほうがいいって優太先生は言ってくれたけど、私は別れた後も昴さんのことは忘れたくないんです。この一年を一生覚えていたいんです」
きっぱりと言って視線が合う。
少しして、優太先生は息を吐いた。
「はぁ……大阪まで来てくれたから期待したじゃん」
「すみません、こういう話は電話やメールではあまり良くないかと思って」
「でも……ちょっと分かってたかも」
「融通のきかない女で本当にすみません」
私が言うと、優太先生は苦笑する。
「決めたら曲げないもんね。仕事だって、本当は続けたかったくせに、足をひっぱるのが嫌だってあっさり辞めちゃって」
「バレてました?」
「バレバレだよ。特に僕は香澄ちゃんしか見てなかったんだし」
先生は続けて聞く。
「これからどうするの?」
「えっと……引っ越すのは引っ越そうかと思って。今は寮のついている会社に転職活動中です」
「本当に君は不器用と言うかなんというか……」
優太先生は頭を抱えた。
それから少ししてまた口を開く。