エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
「でもさ、もし昴先生と続けることになったら、一度は一緒に大阪に顔を出してよ。そうしないと僕が君を一生諦められそうにないから」
「残念ながら、それはないです。今だって全然顔も合わせられないくらい病院ばっかりだし、私もそれでいいと思ってます」
「そうだろうけど、何かが少しずつ変わってきてるんじゃない?」
「え……?」
(何のことだろう?)
病院のことなら確かに少しずつ変わっては来ているけど……。
「昴先生ってさ、普段めちゃくちゃストイックに病院のことしか考えてないでしょ。女性関係もない、タバコも吸わない、お酒も飲まない、自由な時間があれば勉強して……」
「そうですよね」
「だからこそ、ああいう人が何かわがまま言った時って、つい叶えてあげたくなっちゃうんだよね」
それはそうかもしれないけど……。
優太先生は突然何を言い出したのか、その時の私にはよくわからなかった。
「でも昴さんですよ? 彼はわがままなんて言わないような……」
「ま、余程でないと言わないだろうね。でも僕は香澄ちゃんといたら、その余程って気持ちになるんじゃないかな、って思ってさ」
優太先生は優しく微笑んで続ける。
「だからいつか、二人で遊びに来てくれる日を待ってるから」