エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
昴さんは悪びれもせずに微笑んだ。
「香澄ほど適当な相手はいない。香澄みたいに可愛くて若い女にしか興味ないと言えば、俺の周りにいる大抵の女は追い払える」
完全に利用されていると分かっても、可愛い、なんて言葉に口角が上がりそうになる。
本当は若い女であれば誰でもいいはずなのに。
でも緩んだ顔を見せてはいけない、と口元をなんとか引き締めた。
「あ、相手が、ぎゃ、逆上して私が刺されでもしてたらどうするつもりだったんですかっ」
「守れるつもりだし、いざとなればオペして助けてやるよ」
「そんなの絶対いやですよ……!」
さっき、ドキドキした自分を殴りつけてやりたい。
彼の本性はこれだ。十分すぎるほどに、分かってた。
抱きしめられたのははじめてだったけど、これで五度も同じように断る口実にされていれば。