エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

「また騙された……。私はなんで学習しないのよ……」

 何度も簡単に騙される自分で自分が嫌になる。
 彼が私に優しくしてくれるときは、大抵……いや、そのほとんどがこんな時。

 こんな時と言うのは、つまり、私を自分の都合でいいように使いたいとき。

 がっくり肩を落として涙目になる私の肩を彼は優しくポンッと叩く。

「誕生祝いだってしてやっただろ?」
「そっちがついでだったんじゃないですかっ、最低!」
「タクシーで送ってやる」
「あたりまえです! 腹が立ったらおなか減ってきました」
「そう言うと思って、夜でもうまいケーキとコーヒーが出てくる店を調べておいた」
「じゃ、早く行きましょうよ」

 また悪びれもせず笑った昴さんと二人、タクシーに乗り込む。
 行先の店の場所を告げるとタクシーが発進した。

 その時、昴さんのスマホが鳴る。
 一言、二言かわすと、昴さんは私に言った。

「呼び出しだ、すまない」
「お酒、飲んでませんでした……?」
「俺のはノンアル」

 抜け目ない……。
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