エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
「香澄」
振り向く前に誰の声かすぐわかる。
振り返るとやっぱり昴さんだ。また午後一だから、診察室からお迎えに来てしまったらしい。
「昴さん、今日はお迎えなくていいって言いましたよね?」
「だめ。ほら、行こう」
手を差し出される。
さすがにここで手を繋ぐのは……と思っていると、小春先生に「私はここで失礼しますからごゆっくり」と微笑まれた。
後輩にそんな気を遣わせて恥ずかしくなって、思わず昴さんを睨むと、全然分かっていないのか微笑み返されて……
結局その笑顔に私は負けて、昴さんの手を取った。