エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 昼過ぎに、脳外に神也が顔を出した。

「昴、メシ食ったか?」
「いや、今からだ」

 俺が言うと、神也は親指で中庭の方を示す。
 頷いて、10分後、と言うと神谷は頷いた。

 
 少し前に知ったのだけど、明るい時間に中庭に出ると気持ちが切り替わる。
 昔はずっと病棟内か手術室にいたからか、昼夜がよくわからなくなってきていたが、今は流れる時間を感じるのだ。

 俺の手の内にある弁当箱を見て、神也は目を細めた。

「弁当になったんだっけ」
「あぁ、昼はあまり食べてないのを見抜かれたらしい。ちゃんと食べろと持たされてる。そうなると食べるしかなくなるんだ」
「ハハ」

 神也は妹の顔を思い出してか、おかしそうに笑う。

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