エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
ふと昨日の夜の、ベッドの中での香澄との会話を思い出して口を開いた。
「昨日はそっちにも顔出したんだろ?」
「よく知ってるな」
「香澄が話してたからな。しかし、そろそろ兄離れしないものかな」
兄であっても香澄の口から男の名前が出るのは、やはり心が揺さぶられる。
そんな一瞬一瞬で、香澄のことを手放すことなんて絶対にできない自分を感じる。
それがわかってか、神也は眉を寄せた。
「やめてくれよ、ただでさえもお前みたいなのが義弟だなんて頭が痛いのに……」
「俺が義弟で何の問題がある。他の誰より、いいじゃないか。香澄のことを一番に大事にしてる」
今は間違いなく、香澄のことを一番に考えているとはっきり言える。
病院も患者も大事で気を抜く気はないが、自分の根底にある前提が香澄になっていて揺るがないのだ。