エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
マンションに戻ると、香澄がすぐに玄関先まで走ってくる。
離婚旅行が終わってから、よほど手があかないというとき以外は、こうして香澄は俺を出迎えてくれる。
香澄の顔を見ると、いつもホッと一息つけた。
でも今日は、いとしさとともに胸が張り裂けそうになる。
「おかえりなさい! 今日ね、買い物に行ったら珍しいフルーツが……ふぁっ!」
香澄が今日の出来事を話してくれようとしているのに、思わず強く抱きしめていた。
彼女はそっと俺の背に手を回す。
「何かありました? もしかして、今日、病院大変でした?」
緊張をほぐすように明るい声で彼女は言う。
当たり前に俺のことばかり心配してくれる彼女に甘え続けていたのかもしれないと思わされた。