エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

 つい、抱きしめる腕に力を込めてしまう。

「今になって、俺といることが香澄のためになっているのかと疑問に感じたんだ」

 身を引く気はないが、相手を思うからこそ身を引く気持ちがわかった。
 俺が香澄の好きな相手じゃなければ、香澄はきっと怪我もしなかったし、もっと自分のことを考えていたのかもしれない。

 長い間、香澄は年下で子どもだと思っていたけど、香澄は俺よりずっと早く大人になっていたんだろう。

 香澄は優しく微笑んで、それから額を合わせて言った。

「何言ってるんですか。私は昴さんがいたから、ずっと幸せでしたよ?」

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