エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む

「あの事故の時、俺は今まで感じたことがないくらい焦った」
「でも、昴さんがいるから、いざとなれば助けてくれるって思ってました。昴さんがいれば私は大丈夫だろうなって」
「そんなに難しいオペじゃなかったのに、なんとかなった、というレベルだったんだぞ」
「えぇっ……!」

 そんなこと初めて知った。
 昴さんは飄々と、完璧だったと言ってたし。実際縫いあともきれいで、回復も早かった。


「香澄を前にして、初めてオペが怖いと思ったよ。それで、目が覚めた香澄が仕事もやめて俺から離れそうになったのがもっと怖くて、あんな契約結婚なんて提案をしてしまった」

「一年の契約結婚ですか?」
「そう。一年あれば、香澄を繋ぎとめられると思ったんだ」
「自信過剰ですね」

 昴さんらしくて思わず笑うと、彼は真剣な顔で続けた。
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