エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
「実際は、最後まで香澄は結論を曲げてくれなかった。本当に香澄は決めたら曲げないな。頑なと言うか、強情と言うか……それに俺がどれだけ焦らされたか」
そんなふうに感じていたなんて知らなかった。
じっと見つめていると彼は苦笑した。
「そうだったんですか?」
「そうだ。香澄は表情は分かりやすいくせに、口では絶対言わない。だから不安になる。旅行だって、どうしても二人の時間を取りたくて提案した」
「……離婚旅行?」
「あぁ。俺にとっては、離婚旅行じゃなくて、香澄に離婚を撤回させるための旅行だったんだ。でも、その旅行で自分の方が恥ずかしいくらいにさらに香澄に嵌った」