エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
 朝からからかわれていたたまれなくなったので、すぐにベッドから抜け出る。すると、昴さんもベッドから出た。

 それでもなんとなく昴さんを目で追ってしまう。彼は軽く伸びをしたあと首の後ろを揉みながら言った。

「朝食頼んだから、食べたら出かけるか」
「はい」
「クリュニー中世美術館だっけ。意外だな、美術館に行きたいだなんて」

「パリに行くって決まって、色々調べた時に見つけて……直接見てみたいって思ったんです。あ、もちろんルーヴル美術館も見てみたいけど」
「そうか、楽しみだな」

 ドアを叩く音がする。
 ちょうどルームサービスが届いたところだった。

 サーブされた食事が室内のテーブルに並べられる。

 サラダ、オムレツ、ハム、チーズやクロワッサンに色とりどりのジュース。
 すぐに小さめのテーブルはいっぱいになった。朝から多すぎるが、これまでの私なら食べられていただろう。

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