エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
昴さんはあの時と同じように手早くナポリタンを作ってくれる。
私はコンソメの野菜スープを隣で作りながら、彼と時折目が合っては笑い合った。
昴さんは出来上がったナポリタンをお皿に盛って、テーブルにコトンと置いてくれる。
私も合わせてスープをパスタの隣に置くと、二人向かい合わせに座って同時に手を合わせた。
「「いただきます」」
見た目も、香りも、あの時と同じナポリタンだ。
ドキドキしながら口にしてみると、ほんのり懐かしい甘さが舌にのった。
「おいしい!」
思わず叫んで、それからバクバクと食べてしまう。
なんだろう、止まらないくらいおいしい。
レシピ、聞こうかな。でもまた昴さんに作って欲しいし。
昴さんは向かい合って目を細めて私を見ていたけど、自分も食べ始めた。
そして一口食べて微笑む。
「やっぱり香澄と食べる食事が一番おいしいな」
「昔もそう言ってくれましたね」
「ずっとそうだったから」
昴さんとは昔はあまり会えなかったのに、会えば何か食べてばかりだったな、と思い出す。
今だって、大体二人でいるときは食べて、笑って、それからくっついて。
やっぱり昴さん、私をずっと餌付けしてた?
だから彼と顔を合わすたびに、もっともっと彼を好きになっていってるんだったりして。