エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
エピローグ『5年後』

 やっと寝てくれた娘の香菜をそっとベビーベッドに下ろす。
 と同時に、玄関ドアの開く音がした。

「ママ―! かなー! ただいまー!」

 3歳になった息子の(れん)の声が聞こえて、顔を玄関に出し、そっと口元に人差し指を当てる。

「おかえりなさい。ちょうど香菜が今寝てくれたところなのよ」
「かなー、ただいまー」

 連は急に小さな声で言い、そっと寝ている香菜に触れて額にキスをする。

 その仕草がかわいすぎて思わず破願すると、連について帰ってきた昴さんも私と同じように連と香菜を見て、顔を綻ばせていた。

 香菜は騒がしい中で育っているせいか、一度寝てしまうとこれくらいの物音や行動では起きず、すやすや寝ている。
 昴さんも続いて香菜の額にキスをして、それから、連が見ていない隙に私の頬にもキスをした。

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