エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
「ボールふいてかたづけてくる!」
「ありがとう」
連がバタバタと走って行くと、昴さんが楽しそうにその後ろ姿を見た後、私に話しかけた。
「そういえば、今年は旅行、どこに行こうか?」
「今年は香菜も小さいし、横浜とかどうでしょう」
「あぁ、いいな」
あれから毎年、家族で旅行をしている。
時期が来ると、昴さんが行こうと声をかけてくれるのだ。
まだ子どもが小さいので近場が多いけど、どこも楽しい思い出になっていた。
「また香菜が大きくなったら、みんなでパリも行きたいですね」
「そうだな」
昴さんが目を細める。
突然昴さんが黙り込んで、どうしたんだろう、と彼の方を見ていると、唇が合わさった。