エリート脳外科医は離婚前提の契約妻を溺愛猛攻で囲い込む
一通り笑い終えると、昴さんは袖をたくし上げ、手を洗ってキッチンに立った。
「よし。昼、なに作ろうか」
「え? 私が作りますよ」
「いいから、連の話を聞いてやって。話したいことをたくさん持って帰ってる」
香菜が生まれてから、連との二人の時間が持てないと相談して以降、昴さんは率先してこういう時間を作ろうとしてくれる。
おかげで、私は連に向き合って、ゆっくり連の話を聞けるのだ。
病院一筋だった昔の昴さんからは想像できないけど、もともと思いやり深い優しい人なんだろうと思った。
「さて、何にしようか?」
キッチンで昴さんが微笑んで聞く。
私と連の返事が被った。
「「ナポリタン!」」
「ハハ、親子そろってそっくりだな」
楽しそうに昴さんが笑った。
「だっておいしいんですもん。ね? 連?」
「うん! あまくておいしい!」
「じゃ、そうするか」
私は昴さんの料理を作る音をバックミュージックに、連のがんばって話す話に耳を傾けていた。